合宿免許作ろう
「工事を可能な限り分割して発注すること」が官公需法で決まっている以上、その数だけ業者数が存在しつづけることになります。
したがって、地方においては縮小傾向にある公共事業に依存する業者が引きっづき大量に存在することになるでしょう。
納税者自らが選挙という過程を通じて、この仕組みを選択するのであれば、そこに議論を挟む余地はありません。
公共事業の約7割が地方に依存していることを考えると、地方における公共事業は日本の労働市場確保のために非効率さを残す選択を国民が下したということです。
一方、官公需法や地域要件などで保護されない大手ゼネコンの場合、所在地に関係なく競争激化に見舞われることとなります。
官公需法における中小企業への優先発注割合が年々上昇してきていることを考えると、大手建設会社が対象とする公共事業マーケットは公共事業全体の縮小以上のペースで縮小してきています。
そこに脱談合にともなう価格競争の激化によって、公共工事の利益率は急激に低下していくことになるでしょう。
公共工事の粗利益率は民間工事の粗利益率に比べて2倍以上の水準にあり、この公共工事の粗利益率が民間工事並みにまで低下してくると、大幅な人件費カットを行わなければ業績が確保できなくなる建設会社が出てきます。
特に、大手ゼネコンが対象とする公共工事マーケットが自由競争市場化してくるのであれば、大手ゼネコンのなかには受注量を確保して、利益率ではなく利益額を維持させようとするところも出てくるでしょう。
こうなると問題は人材の確保です。
利益率を半分程度にまで低下させ、受注量を2倍確保すれば利益額は変わりませんが、工事を施工できる人材の確保が必要となってきます。
今後、大手ゼネコンは団塊の世代が退職期に入ってきます。
したがって、増加した受注量を施工するための必要な人材を確保するために合従連衡が始まってくるものと思われます。
一方、この価格競争に耐え切れなくなる建設会社も続々と出てくるものと思われます。
優勝劣敗は大手建設会社において加速していくものと思われます。
民間工事における継続的な建設単価上昇が発生するのであれば、脱談合にともなう公共事業に価格競争が激しさを増すなかで、多くの建設業者は民間工事へと流れ込んでくるでしょう。
したがって、民間工事の建設単価上昇は、脱談合にともなう建設業者の民間工事への参入によって抑制される傾向にあります。
つまり、民間工事においても著しい粗利益率の上昇は期待できないのです。
すると、ゼネコンは最大のコスト項目である外注費の削減を継続しなければならず、ゼネコン経由で受注を獲得する設備工事業界などにおいても利益率の上昇は困難と言わざるを得ません。
さらに、設備工事業界などの場合、バランスシートが大手ゼネコンよりも強固なところが多く、そのバランスシートを武器に安値受注を繰り返すことも予想されます。
この安値受注は営業赤字に陥るまで繰り広げられることになります。
こうした設備工事業界が直接顧客から工事を受注できるメンテナンス、リニューアル分野も予断を許さないこととなるでしょう。
大手ゼネコンにおいては「設備」を軽視する社内カルチャーが存在してきたことも事実ですが、一部の大手ゼネコンにおいては設備工事会社を買収する動きも出てきていて、川上から川下まで一括して顧客にサービスを展開していく可能性もあります。
公共工事における分離・分割発注の原則から設備工事会社では公共工事において設備工事を直接受注できる歴史がありましたが、公共工事における大型建築物の発注に際してPFI方式が導入されるや否や大手ゼネコンの下請の道を歩まざるを得なくなっています。
利益源の相次ぐ喪失によって、設備工事業界における利益成長は限界的な状況となっています。
それでも耐え忍ぶことができるのは強靭なバランスシートがあるからでしょう。
しかしながら、こうした状況はすでに10年以上継続していて、今後10年、同じような状況が継続されるとは思えません。
大手ゼネコンによる設備工事分野への参入は激しさを増していくものと思われるからです。
不動産投資市場の設立によって、建築物は建築するだけの世界から、経済的価値をいかに毀損させないかという世界に入っています。
設計、施工、メンテナンスのすべてに関与し、メンテナンスのデータを分析することで、建物の経済的価値を毀損させないための条件など上流段階へのフィードバックを大手ゼネコンは模索しているからです。
設計、施工、メンテナンスが独立して存在していた時代は終わろうとしています。
清水建設、戸田建設の連結売上高に占める海外売上高の比率は低いものの、大成建設、大林組、鹿島、西松建設、前田建設工業は概ね全体の10%程度を海外事業に依存しています。
海外工事の粗利益率について非開示のゼネコンが多いのですが、一部の開示された情報を見ると粗利益率で2~3%というところが多いようです。
少なくとも国内工事の粗利益率以上を確保できているという話を聞くことはありません。
粗利益率水準が極端に低いため、海外工事全体で赤字になることも珍しくありません。
歴史的にはゼネコンは国内建設需要が冷え込むと海外展開を模索してきていますが、現在までのところ海外部門が全体の経常利益に対して大きなプラスのインパクトを持つには至っていません。
むしろ、数年に1度、大きなマイナス・インパクトをもたらしているのです。
中長期的に国内建設投資が減少傾向に入るならば、海外工事を拡大させなければならないと主張する人は多いでしょう。
しかし、過去何十年とトライして大きな利益の柱にならなかった歴史を見るならば、国内建設投資減少に伴う利益減少を海外工事の利益で補うことは困難です。
むしろ、粗利益率が2~3%ということは本社経費については国内建設部門にすべて負わせていなければ、営業利益は確保できない水準です。
つまり、国内建設投資の減少によって利益が低迷するのであれば、海外工事の確保も困難な状況になります。
すでに、一部の大手ゼネコンでは拡大してきた海外工事の受注縮小を打ち出しているところもあります。
現状のスタンスで海外工事を拡大することは、決してゼネコンの将来を明るくするものではないと思われます。
長期的には建設業界における需給ギャップが解消されるまで本格的な利益率の上昇は見込めず、他の業界の大手企業との相対的な業績格差の拡大が継続するでしょう。
国内から海外に出ても、国内以上に競争が激しい海外マーケットにおける利益成長には限界があります。
一方、一部の最大手ゼネコンにおいては、開発事業(不動産事業)が全体の営業利益の3~4割を占めているものもあります。
日本の不動産マーケットを見てみましょう。
すでに、都心部の一等地に存在するオフィスビルの投資利回りは大幅に低下しています。
今後は開発リスク、具体的には土地の確保からリスクをとらざるを得ない環境に入っています。
都心部の不動産価値は土地が約8割、建物が2割といったところでしょう。
つまり、まとまった土地が確保できれば、不動産価値の相当な部分を獲得したことになります。
では、誰がまとまった土地を確保するのでしょうか。
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